「褒めるのが大事」ってよく聞きますが、どんな風に褒めるのがいいのか?悩んでいます。
机で悩む保育士

そんな保育士の子どものお悩み相談にお答えします。

保育士歴こっそり18年(秘密)保育士歴こっそり18年(秘密)

このページの内容は

  • 子どものやる気を引き出せる褒め方について
  • みんなの中のひとりを褒めてあげたい場合について
  • 褒められるとプレッシャーを感じる子の対応

この記事を書いている私は保育士になってから18年・・・(20年じゃない!18年ね)

いろいろな悩みも、転職(転園)も、そして出産による育休も経験してきました。
今の私から新人だった頃の私にアドバイスするつもりでお答えします。

最悪なのは「だれが一番上手かな~」と競わせて褒めることです。

何か下心があって、子どもを褒めるのは単に子どもをコントロールしたいという保育士の身勝手です。

子どもを叱るときだけでなく、褒めるときも配慮は必要なのです。

子どものやる気を引き出せる褒め方が分からなくて悩んでいます

保育士 1年目・M先生のお悩み

年長児のクラスの楽器の練習で、ピアノを習っている子に「じょうずに弾けたね」と言っても、「このくらい簡単」とあまり喜びません。
また、できない子や興味のない子は、「どうせできないから」と言って真剣に練習してくれません。
じょうずな子もできない子も、やる気が出るような褒め方、励ましかたがわかりません。

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できる子にできない子のお手伝いをしてもらう

できる子にできない子の指導を手伝ってもらうのはどうでしょう。

できる子は教える立場になり、どう教えたらよいか考え、工夫することでより技術が伸びます。

そして、できない子は、友だちに気軽に教えてもらえます。

また、簡単にできることを褒められても、うれしくないのは当然ですから、できる子には少し難しい課題を与え、できない子には小さな目標を立てて進めてみましょう。

そして、どちらの場合も、うまくなったら十分褒めることが大事です。

動機付けという点では、人からやらされていると感したとき、子どもはやる気を減少させると言われています。

「やらせるために褒める」というのは、本当の「褒める」ではありません。

子どもたちも「褒めるふりをしてやらせようとしている」と何となく気が付くものです。

褒めるところが間違っていないか?

できたできないの「結果」だけを重視するのではなく、「できなくてもあきらめない」「できてもいばらない」など、その子なりに一生懸命なところを見つけて褒めていくのです。

そして、できない子や興味を持てない子が、なぜそういう気持ちになってしまったのか、考えてみてください。

結果だけを認めて褒めていると、できない子は先がわかってしまい、劣等感を感じて練習もいやになってしまうものです。

残念ですが、できない子がすぐにやる気を出す、特効薬のような褒め方はありません。

しかし、子どもは本来、できないことはできるようになりたいし、できることにあこがれを持っているものです。

だからこそ、できることが特別なのではなく、がんばろうとする気持ちを認めていくことが大事なのです。

そのうえで、できる子には「より滑らかに弾けるように」「気持ちを込めて」など、その子なりの課題を与えることも必要で、それが練習への意欲につながります。

まとめ

できないという結果だけを見ていると子どもの小さな進歩が見えなくなります。

跳び箱もできる子とできない子の差が出ますよね。

できる子はさらに高い段に挑戦させればいいのですが、できない子の場合は小さな進歩に気づいてあげたいものです。

跳び箱を跳べなくて上に座ってしまったとしても、その座った位置が前回よりも前に進んでいませんでしたか?

たとえ1センチでも2センチでも、「さっきはココだったけど、今はココまで来たから前に進んだよ!」と指摘してあげれば、もう一度やってみようという気持ちになってくれるものです。

できない子こそ、小さな進歩を見逃してはいけないのです。

みんなの中のひとりを褒めてあげたい

保育士 2年目・H先生のお悩み

ふだんあまり大きな声を出さない年長児のAちゃんが、歌の時間に一生懸命、元気な声で歌っていたので、「Aちゃんの声、よく聞こえたよ。元気な声だね」と褒めました。
すると周りの子たちも、競って大きな声を張り上げ始め、「きれいな声で歌おうね」と促しても、声はどんどん大きくなるばかり。
ひとりだけを褒めることは、やめたほうがよいのでしょうか?

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集団の指導のときはひとりの子を褒めるのは避けたい

ひとりの子を褒めると、ほかの子どもたちは自分も認められたいという思いから、褒められた子のまねをすることがよくあります。

ですから、基本的には複数の子どもの違った面を褒めたほうがよいでしょう。

そうすることで、ひとつの歌いかたがよいというのではなく、いろいろな歌いかたを認めることになります。

また、保育士は、歌いかたの指導をするとき、歌詞からどんな情景をイメージし、どんなふうに歌ってほしいのかを考えていたでしょうか。

歌は元気に歌えればよいと思いがちですが、「元気な声できれいに歌おう」だけでは、年長児の歌の指導としては具体性に欠けています。

歌詞のイメージを子どもたちと話し合いながら、「ここは優しくゆっくりと」「ここはきびきびと元気に」というように、わかりやすく伝えていきましょう。

保育士が考えるゴールに合わせて褒める

このケースで、みんなにどんな風に歌ってもらうのがゴールなのかハッキリ決めていますか?

大きな声、きれいな声で歌ってほしいのならば、大きな声で歌えた子ときれいな声で歌えた子を両方褒めて、「大きくてきれいな声で歌えるようになると、もっといいね!」とみんなに伝えるべきでしょう。

このように、みんなの中でひとりだけを褒めるかどうかは、慎重に判断するべきです。

このケースのように、「大きな声」を褒められれば、ほかの子も褒められたいと思って、大声を出すようになるのは当然だからです。

どうしても、ひとりだけ褒めてあげたい子がいるのならば、後で直接、「大きな声が出るようになって、先生、うれしかったよ」と、保育士が感じたことを伝えたほうがよいでしょう。

まとめ

年長児ともなると、だれがどこをがんばっているか、互いにわかっているものです。

「Aちゃんの声、聞こえるようになったよ」と、子どもどうしが認め合える環境を作ることが好ましいですね。

クラス全体が、子どもどうしでよいことを認め合う関係に育っていると、保育士が特に意識して褒めなくてもよくなるはずです。

子どもたちは保育士に褒められるより、友だちに褒められたほうが、認められたと感じるものです。

こうした環境を作るには、日ごろから友だちのよいところを見る目を育てることが必要です。

そのためには、保育士が小さなことにも目を向けて褒めてあげる「お手本」を見せてあげましょう。

褒められるとプレッシャーを感じる子

保育士 1年目・E先生のお悩み

年少児のクラスの保育参観で出席をとるとき、いつもと同じように元気に返事ができた子を「じょうずにお返事できたね」と褒めました。

いつも返事をしないKちゃんに見習ってほしくてそうしたのですが、Kちゃんの保護者に、「家では元気に返事をするのに、先生がほかの子を褒めることが、プレッシャーになっているらしい」と言われ、対応が分からなくなりました。

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元気の良さだけが評価されるものではない

このような下心がある褒め方は、できるだけ避けたいものです。

「子どもは元気なほうがよい」と、確かに大人は思いがちですが、静かな子やおとなしい子もいるわけです。

子ども自身の生まれ持った気質(性格の基礎)を変えることはできません。

いずれ、返事ができるようになればよいのですから、年少児の場合、今は必ずしも元気な声でなくても、返事の内容が伝わればよいわけです。

表情で反応する、手を挙げるなどでよしとしましょう。

そのうえで保育士は、どんな子どもに育ってほしいのか、自分の考えをきちんと持つようにしましょう。

個性を認めるということは、保育士も子どもを見る目を変えるということなのです。

結果重視の褒め方の典型的な例です

元気な返事をした子を褒めるのは、結果を重視することと同じになります。

実は、目の前でほかの子が褒められるとプレッシャーに感じる子どももいるのです。

ですから、Kちゃんのように、ほかの子が褒められるのを見て、「自分もそうしなければいけない」というプレッシャーを感じている子は少なくありません。

おそらくE先生は、褒められて育ってきたのでしょう。

ほかの子を褒めることは、それができない子にとっては、押し付けになることもあります。

性格は、そう簡単に変えられるものではないので、子どもの返事に対しては、

  • 「声は小さくても、先生の話を聞けた返事」
  • 「姿勢がいい返事」
  • 「目と目が合った返事」

など、いろいろな褒め方をしたいものです。

保育士は、返事ができてもできなくても、さらりと対応し、形式にこだわらずに、子どもが「自分はここにいるよ」と表現できるような信頼関係を作っておくことが大事です。

まとめ

子どもを褒めたとき、本当にいいと思って褒めたのか、関係をよくしたいがために褒めたのか、何か下心があって褒めたのか、もう一度振り返ってみましょう。

また、「すごいね」「いいね」のように具体的ではない褒め言葉を使ってしまった場合、他に認められるところはなかったのか、考えておきたいものです。

「その色、すてきね。絵の具を混ぜたんだね」というように、どこがどのように良かったのか、具体的に伝えてあげましょう。