「言葉の発達はみんな違う」って分かっていますが、それでも思うようにコミュニケーションが苦手な子どもに困っています。

机で悩む保育士

そんな保育士の子どものお悩み相談にお答えします。

保育士歴こっそり18年(秘密)保育士歴こっそり18年(秘密)

このページの内容は

  • 自分ばかりしゃべって人の話が聞けない子の対応
  • こだわりが強く、同じことを言い続ける子の対応
  • 意図的にひどい言葉を使う子の対応
  • 普段は話さないのにときどき大爆発する子の対応

この記事を書いている私は保育士になってから18年・・・(20年じゃない!18年ね)

いろいろな悩みも、転職(転園)も、そして出産による育休も経験してきました。
今の私から新人だった頃の私にアドバイスするつもりでお答えします。

一見、問題がなさそうでも、人間関係の発達だけが抜け落ちているような子が、最近増えています。

例えば、

  • 頭がよくて知識は十分あるのに、集団活動となるとまったくやらない
  • 一方的にしゃべるだけで、聞いても答えない

など言葉を使ってコミュニケーションをとるのが苦手なのです。

このような子はそのままにしないで、専門の発達相談を受けたほうがよいのですが、問題は保護者の理解です。

保育園としては、子どもにどのようにしてあげたらよいか、園全体の方針を確認することも大切です。

自分ばかりしゃべって人の話が聞けない子

保育士 2年目・I先生のお悩み

語いが豊富で感情表現も豊かな年少児のTちゃん。
言いたいことがあるときは、「あのね、あのね」と一方的に話します。
わたしがほかの子と話していても割り込んできて、「次ね。待ってね」と言ってもおかまいなし。
発言できることはすばらしいのですが、人の話も聞ける子になってほしい。
しかってでも、話をやめさせるべきでしょうか。

机で悩む保育士

いったん興奮を静めてから話す

まずは落ち着かせて、1対1で話すようにしましょう。

Tちゃんは、マイペースで人への配慮が未熟なのか、あるいは刺激に影響されやすい子なのかもしれません。

特に集団になると、保育士の声を受け止められないという子は最近多いようです。

保育士が話していても、ほかの子どもたちのおしゃべりや騒音に気をとられ、話に集中できないのです。

Tちゃんの特徴をつかんで、それに合った言葉かけが必要ですね。

はしゃぐような活動で興奮したときは、折り紙を折るなどの「静」の活動をして、いったん興奮を静めましょう。

自分の話を聞いてもらえるここちよさを実感させる

このように、聞いてほしい要求が強い子に、しかるのは逆効果です。

お互いに言葉で何かを伝え合うことではなく、Tちゃんのように自分がしゃべっていることに満足する子がいるからです。

話に割り込んでくるときは、「お友だちもTちゃんと同じように聞いてほしいのよ。待ってね」と、相手の思いに気づくような言葉かけをして、そのあとで話をしっかり聞いてあげましょう。

年少児はまだ自己中心性が強く、人の話を聞けなくてもある程度はしかたがないものです。

ただ、保育士の仲立ちがあると、2歳児でもじょうずに話を聞くことができます。

毎朝、真っ先に声をかける、着替えのときにゆっくり話を聞くなど、意識的に1対1でかかわる場面を作り、気持ちを伝え合う言葉のやりとりを多くします。

話を聞いてもらえることのここちよさを経験すれば、その積み重ねで、人の話も聞けるようになっていきます。

時間はかかりますが、保育士が共感し、Tちゃんが言葉を通して人とコミュニケーションしていくことを体得できるようにしたいですね。

まとめ

落ち着かせて1対1で話を聞いてあげる場面を作ってあげましょう。

ただ、話に割り込んでくるようなときには叱るのではなく、いったん待たせて、その後しっかり話を聞いてあげる時間を取りましょう。

こだわりが強く、同じことを言い続ける子

保育士 1年目・R先生のお悩み

年長児のJくんはまじめで正義感が強く、何事にも真剣に取り組むあまり、こうと思い込んだら融通がききません。
通園バスの座席がいつもと違うと、「違う」と言い張り、転入してきた子の体操服が違うと「なんで、どうして?」とこだわります。
何度となく説明するのですが、人の言葉が耳に入らないこともしばしばで、自分が納得できないとだめなんです。

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こだわりが強くても大丈夫

一つのことにこだわりを強く持っていても、ほかの物や人にも興味を示しているのであれば、心配はないでしょう。

まじめできちょうめんな子には、保育士がもっとおおらかにかかわってみましょう。

1~2歳半くらいでは数字や順序にこだわりの強い子もいますから、Jくんはきっと、ゆっくり発達しているのでしょう。

子どもの気持ちを受け入れて

Jくんのこだわりを受け入れても支障がないのなら、要求を聞いてあげてもよいと思います。

そして受け入れられないときは、「そうだね、違うよね」といったん気持ちを受け止めて、できない理由を話すと、わりとすんなり納得できるのではないでしょうか。

どうしたらJくんが納得できるのかを考えましょう。

そして、極端にこだわる子には、あえてこだわりの殻を壊すこともあります。

例えば、ダメなものはダメと、頑としてこだわりを受け入れない、あるいは綱引きのように、相手のようすを見ながら少しずつ受け入れるなどです。

まじめで正義感の強いのがJくんのよいところですが、いろいろな変化を受け入れていくのが少し苦手なのかもしれません。

しかし、このケースの場合はJくんなりの正義感や思い込みからくるもので、それほど問題があるとは思えません。

まとめ

子どもの困った行動を修正しなくてはという思いが保育士にあると、対応はうまくいきません。

一歩引いて、どのような気持ちからこういう行動が現れるのか、子どもの言葉ではなく、心を見るようにしたいですね。

意図的にひどい言葉を使う子

保育士 2年目・M先生のお悩み

人を傷つけるような「ばーか」「ざけんなよ」や、「うんこ」「おしっこ」など、排泄にかかわる言葉をおもしろがって言うのがはやっています。
真剣にしかると、さらにエスカレートし、どうしたらよいのかわかりません。

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伝えるべきことは真剣に伝える

大人の反応をおもしろがって言っている場合は、受け流すのが1番です。

注目して欲しいから意図的にひどい言葉を使っているので、ひどい言葉を使っても注目されないと分かると言わなくなります。

ただ人を傷つけるようなひどい言葉のときには、「先生はとてもいやな気持ちがしたよ」と、はっきり伝えたいですね。

何でも受け入れるのではなく、伝えなければいけないときは、たとえ子どもであっても、人間として真剣に伝えるべきです。

「気にしてないよ」という対応も効果的

「気にしていませんよ」と、さらりと受け流すのがよいでしょう。

潜在的な攻撃や拒否があってひどい言葉を言う場合もあります。

しかし、大半は保育士がかかわってくれるのを期待して、悪い言葉を言う……いわゆる「注意獲得行動」がほとんどでしょう。

まとめ

自分に注目して欲しいという気持ちは子どもだけでなく大人にもあります。

ただ、注目してもらうためにひどい言葉を使うのは間違いだと、さらりと受け流すことによって伝えましょう。

普段は話さないのにときどき大爆発する子

保育士 1年目・N先生のお悩み

ひとりっ子の年中児のHくん。
保育園ではほとんどしゃべらないことと、気に入らないことがあると、大爆発を起こすのは3歳のときと同じです。
爆発するときの変わりようと、その大暴れぶりにびっくり。
家庭ではよく話すそうで、どうして園ではしゃべらないのか、Hくんが何をしたいのかわからず、よい対応ができずにいます。

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一語文でいいから子どもからの言葉を待つ

次の2点に注意して、Hくんに接してみてはどうでしょうか。

  1. 保育士はHくんが何か言う前に行動しないこと。
  2. Hくんの言葉を待って、それから「お水ね」のように、言葉を返します。

  3. 最初は言葉を複雑にしないこと。一語文でOK。
  4. 子どもの要求場面で言葉を使い、言葉を媒体にして「伝える」ことができるようにします。

言葉によって自分の意思表現ができる子は、大爆発を起こしにくく、逆に、表現できる言葉が少ないと相手に意思が伝わりにくく、情緒的に爆発してしまうのですね。

発達心理の現場では、知的な障害があって言葉のでない子に対して、絵カードや身振りサイン、文字など、言葉以外のコミュニケーションの手段を教える療法が用いられています。

それができるようになると、爆発やパニックが治まることが多いのです。

言葉にならない思いを受け止めて

表情から気持ちを推測したり、行動から次に何をしようとしているのか、仮説を立てたりしてみましょう。

どういうときに爆発するのか、毎日記録をつけてみるのもよい方法です。

それまでは突然の「大爆発」にしか見えなくても、一連の動きの中で「大爆発」が起きていると見えてきます。

そうすれば、Hくんの大爆発の理由や気持ちが理解できるようになりますから、「○○したかったんだね」と、Hくんの思いを言葉にしてあげましょう。

「わかってもらえた」という体験を重ねることで、保育士に心を開き、その安心感が「話したい」という気持ちの芽生えになります。

大爆発は、Hくんの全身での自己主張であり、自己表現です。

Hくんが何を言いたいのか、どうしたいのかなど、気持ちを理解するチャンスですね。

そのためには、日ごろからHくんのことを、よく見ることが大切です。

無理にしゃべらせようするのではなく、スキンシップをはかりながらいっしょにあそび、その中で少しでもやる気が見られたら、すかさず認めてあげましょう。

そして、ゆったりした雰囲気の中で、Hくんの言葉にならない思いを受け止めましょう。

まとめ

上手く言葉で自分の気持ちを伝えることができないから「大爆発」しています。

まずは「大爆発」の原因を見つけ出しましょう。

原因が見つかれば、対処できるようになります。