乳児クラスから年少クラスに替わって子どもの人数が増えたので、とても驚いた様子のKちゃん。
そんな保育士の子どものお悩み相談にお答えします。

このページの内容は
- おもらししたのを隠す進級児の気持ち
- 保護者に「大丈夫です」と伝えるのは不安を深めるだけ
新入園児が入園してきたということは、進級児にとって、妹や弟が生まれたお兄ちゃんお姉ちゃんと近い状態になります。
進級児らは1年あるいは2年前から保育園に来ています。
しかし、そのときどきで環境は変化していますから、子どもにとっては未知の世界なのです。
保育士はその点を理解したうえで、
「新入園児同様に進級児にも愛情が必要だけれど、つい忘れてしまいがちだから気をつけないと……。」
といつも心に留めておくことが必要です。
新学期は進級児にとっても今までとは違う知らない世界
保育士は「新入園児に気持ちが向いてしまう」ものですが、進級児への配慮を忘れがちだと意識していると、対応するべきタイミングを逃してしまうことが減っていきます。
保護者には正直に謝り、Kちゃんには「あなたをいつも見ているよ」と、安心感が持てるような接し方を心がけると、保育士との信頼関係もできてきます。
年少児に進級すると担任の数が減り、子どもとのかかわりも少なくなりがちです。
新入園児の行動にびっくりし、Kちゃんはとまどいながらも、不安定さを表に出せないでいたのだと思います。
おもらししてしまったが自分でもショックですし、3歳児としてのプライドもあるので、保育士や保護者に知られたくなかったのでしょう。
もし、またおもらししてしまったら、さりげなく、ほかの子には分からないように着替えさせましょう。
Kちゃんは、小さいころから厳しい保護者に気を遣い、自分のわがままをストレートに出せない習慣が身についているのかもしれません。
そのため、保育士にも保護者にもおもらししたことを言えず、隠してしまったのでしょう。
たぶん、保育士の視野から遠のいてしまいがちな、おとなしくて目立たない子だと思います。
でも、こういうのおとなしくて目立たない子ほど、かまってほしい欲求が強いものです。
みんなといっしょだと緊張してしまいますから、1日のうちにほんの少しでも、一対一で保育士をひとり占めできる時間を作ってあげてKちゃんの気持ちを満たしてあげましょう。
保育士の「大丈夫ですよ」というあいまいな言葉ほど、保護者を不安にさせるものない
苦情が多かったり厳しかったりする保護者は、その背景に自分の子どもに対する不安を抱えていることがほとんどです。
そして、保育士の「大丈夫ですよ」という漠然とした言葉は、保護者を不安させるだけです。
何が大丈夫なのか具体的な言葉にしないと、不安にこたえたことにはならないからです。
また、保護者から何かを訴えられたとき、気づかなかったという焦りを保護者の前では決して出さないようにしましょう。
「この先生、焦っている」と感じた保護者はさらに不安を深めてしまうからです。
保護者の不安を受け入れ、「心がけて様子を見ます」と伝えて、その不安には必ずあとでこたえます。
具体的には保護者が安心できるように、子どもができたことなどのプラス面を、できるだけ多く報告するのです。
報告の回数と内容が多くなればなるほど、その保護者は「うちの子をよく見てくれている」と感じるからです。
実は、保護者の不安を取り除くと、子どもの不安も解消する場合がよくあります。
保護者の話をていねいに聞くようにすると、それだけでも、保護者の不安はかなり解消されます。
そして、Kちゃんのようにおもらしを隠すのようなことはよくあることで、ほかの子の事例も挙げて伝え、保護者の気持ちをほぐしてみましょう。
同じ保育園の保護者同士が親しいことも少なくありませんから、他の子の事例を挙げる場合、決して特定できないようにするのは言うまでもありません。
まとめ
進級児の中でもおとなしくて目立たない子こそ、しっかり目を向けてあげましょう。
そして、できたことは小さなことでも保護者に報告できるようにしたいものです。